SANEMORI所感

202217日(土)

人生で初めて歌舞伎を観劇した。

自身の備忘録として観終わった直後の感想を記します。

書き殴りなので乱文失礼。また、歌舞伎についてあまりに無知なので見当違いのことを言っているかも。ご容赦ください。

 

 

第一幕

とにかく圧巻!圧巻!圧巻の激しい立ち回り。

宮舘くんはほぼ出突っ張り。鎧衣装が重いだろうに軽快に動く。

 

宮舘くんが演じる木曽義仲は若々しく凛とした佇まい。

家臣との距離も近く慕われていて、大将だけど自ら前線で戦うフットワークの軽さ。

殺陣でも軽々刀を振るっていて(なんか軽々しいな?)と思ったけど、後に理由がわかる。

また、宮舘くんの義仲は声色が高くて瑞々しい印象。

脇を固める本業の歌舞伎役者さんに比べて、言葉も現代的だし歌舞伎独特の節回しも浅く、言葉を選ばず言えば「浮いていた」「馴染んでいなかった」と私は感じた。

でも、それが、とっても良かった。

歌舞伎っぽすぎずともよく響く声や聞き取りやすい澄んだ声色は、宮舘くんならではの華!

宮舘くんならではの色の輝き!

木曽義仲の若きカリスマ性や一途さ、爽やかな熱き想いが生き生きと伝わってきた。

 

シーン変わって木曽義賢として出てきた宮舘くんもとにかく体がよく動いて、激しすぎるアクションに次ぐアクション。

もうそれが圧巻!ブラボー!!

義仲の鎧も重そうだったけど、義賢も上半身にものすごい厚みがあって、カツラも大きくて、とにかく動きにくそうなのに、まぁよく動く!

コサックダンスみたいにしゃがみながら足を交互に出す動きが何回か出てきて、軽々やっていたけど本当に大変だと思う。

それが全然辛そうに見えなくて、ビクリとも体幹がブレることがなかったのはさすが。

戸板倒しや梯子の大技は、生身でやっても難しいだろうに、重い衣装とカツラを身につけて散々舞台上を右往左往縦横無尽に動き回った挙句やるものだから、観てるこちらも手に汗握って祈るように魅入ってしまった。

肩を大きく上下させながら息をして、時折呻き声を漏らしながらも、尽きない平氏の軍勢をバッタバッタとなぎ倒していく義賢。

瀕死の重傷を負っても源氏の名のため、家族のために、必死の形相で殺陣を振るう姿は息を飲む。

義仲の若々しく凛々しく軽やかな殺陣と比べて、義賢は動きも重々しく振るう刀も一手一手が重たく力強く感じた。より貫禄を感じる動き。

声も全く違う。低く響く声、義賢の覚悟や人生の重みを感じさせた。

とはいえ、義賢も若くして亡くなった武将なので、義仲との対比という意味で動きや声はかなりはっきりと演じ分けていたのかなと思う。

 

病身を奮い立たせ命を懸けて一人戦う木曽義賢の「命懸け」の部分を、宮舘くんは見事に表現していたと思う。

宮舘くんの覚悟、敬意、役への直向きさに何度も涙が込み上げてきたのでした。

本当に感動した!

 

 

第二幕は満を辞して團十郎さん演じる実盛が登場。

襲名の口上を聞けて感動した。

冒頭で宮舘くんの義仲が語った自身の出生のエピソード。

團十郎さんの華は言わずもがな。

宮舘くんがある意味「宮舘くんとして」役に向き合い歌舞伎に向き合い命を懸けて演じているとすれば、團十郎さんはただ実盛としてそこにいる、という感じ。

演じているとか声がどうとか動きがどうとか感じさせない。

ただ実盛としてそこに在る、そんな風に感じた。

これが本物の歌舞伎役者なんだという説得力と貫禄で、第一幕での宮舘くんの立ち回りを見て「宮舘くんすごい!圧巻!歌舞伎役者みたい!」と軽率に思ったことが簡単に打ち消された。

全然違うじゃないか、とガツンと衝撃を受けた。

と同時に、やはりそこに宮舘くんが歌舞伎をやる意味があるよなとも強く思った。

二幕のストーリーの感想はもう面白かったのの一言。

面白くて引き込まれて、あっという間に感じられた。

二幕はイヤホンガイドもつけながら観たけど、衣装やカツラにも色々意味があって奥深く面白いな〜と思ったり。

で、ストーリーとは別に感じたのが、歌舞伎とアイドルって実は似てるんだな〜と考えていたりした。

歌舞伎って今でこそ伝統的で格式高いものだと思うけれど、かつては大衆向けの娯楽だったわけだし、それこそ今回のSANEMORIで言えば木曽義賢と斎藤実盛というタイプの違う武将をそれぞれ花形役者が演じることで「私は強くて熱い義賢様が好き」「涼しげな美丈夫の実盛がかっこいい」と昔の人もキャーキャー言ってたのではないかなと想像したり。

だから、宮舘くんが歌舞伎をやることもある意味自然に感じられたし、すごく意義のあることなのだろうな。

しかも宮舘くんが、私たちが想像もできないくらいの努力と研鑽をして、全力で向き合って、最大限のリスペクトと情熱を捧げて演じてるから、本当に心を揺さぶるものがあったし、歌舞伎役者じゃないからこそ響くものが確かにあったと思う

 

【追記】

観劇から一週間経って、まだ興奮冷めやらぬというか、SANEMORIの世界にどっぷり浸かっている。そしてあの心揺さぶる体験から少し日が経った今だからこその感想を記しておきたい。

実は今、一番鮮明に思い出されるのは、團十郎さん演じる実盛の美しい絵画のような伏目のお姿である。

私は宮舘くんのファンなので当日はもちろん宮舘くんに全集中して観劇していたし、観た後も宮舘くんの演技を何度も反芻して想い耽っていた。

それなのにもかかわらず、一番鮮明に覚えているのは二幕で実盛が太郎吉に別れを告げる場面なのだ。

あの美しさ、強さ、神々しさ。ずっと宮舘くんを見つめていたはずの私の心にいつの間にか留まって、ふとした時に鮮明に瞼に映る。

それが何故なのか私には説明できないが、宮舘くんの義賢義仲は動の迫力で観るものを圧倒させてくれたし感動を与えてくれた。実盛は静の動きの中で気付かぬうちに心に大きなインパクトを残しているのかもしれない。

ふいに「あの綺麗なお顔がまたみたい」と思う。そんな魅力に気づいている。

 

 

第三幕では舞台中央にいた太郎吉が行き交う戸板に隠れている間に、大人の手塚太郎と義仲にかる演出がエモかった。

ああいう演出はSANEMORIならではなのかな?

現代劇っぽいと思った。

巴御前が出てからも、義仲と殺陣をして最後に背中合わせでポーズを決めるところなんかは戦隊モノっぽくてかっこよかった。

通路を使った演出もより間近で動く義仲が見れてテンションあがった!

身のこなしの軽やかさに圧倒される。

亡くなった実盛が夜の帳に浮かび上がってくる演出もすごいと思った。

義仲の若く頼もしいヒーロー感がかっこいい三幕だった。

 

 

團十郎さんがインタビューやパンフレットでも度々言っていた「古典を守りつつ創作し続ける」ということを私は宮舘くんで実感した。

襲名後初の「新作」上演。

そんな大事な公演にアイドルという異業種からの採用は驚きがあったけど、実際に観てみたら納得しかなかった。

宮舘くんが歌舞伎役者じゃないから、アイドルだからこその必死さで全力で歌舞伎に向き合うことが、SANEMORIの気迫やダイナミックさに繋がっていたのではないか、と素人ながらに思った。

終幕でのスタンディングオベーションが嬉しかったし、気持ち良かった。

私も劇中から最後までたくさんたくさん拍手をしたけれど、心からの感動と感激が演者の皆さんに届けばいいなと思って手を叩いていた。

カーテンコールで宮舘くんの時に一際大きくなる拍手に感動したし、團十郎さん始め舞台上の歌舞伎役者さんたちも宮舘くんに拍手してくれていたのが温かくて素敵だなと感じた。

最後にはほっと心がほぐれた笑顔で手を振ってくれた宮舘くんが可愛かったです。

 

人生初めての歌舞伎観劇の感想は以上。

本当に感動しました。

宮舘くんこんな素敵な世界を見せてくれてありがとう。

本当にかっこよくて、かっこよくて。あまりのかっこよさに何度も涙が込み上げてきたよ。

宮舘くんの信念、熱意、生き様が伝わりました。これからもずっと魅了され続けたい。

 

 

【追記】

ここからは歌舞伎についても忘れないうちに少し感想を。

まず私は古典歌舞伎を観たことがないので、今回のSANEMORIがどれくらい現代的に演出されているかわからないのだけど、かなり見やすくわかりやすくなっているのかな。

事前に大まかなストーリーを予習していたとはいえ、話の流れや会話を聞いてもわからないってことがなかった。

理解しやすかったし、話の展開もおもしろい。

義賢のまだ見ぬ息子への想いとか、小まんの人としての凛々しさ、太郎吉の母を想う気持ち、実盛の器の大きさと超越したかっこよさがキャッチーでわかりやすかった。話の盛り上がりとか感動ポイントが要所にあって、素直に感動できたのが気持ちよかった。

舞台装置も面白くて、豪華絢爛な船や小舟がどうやって動いているのか気になった。人が動かしてるのかな?

その割にかなり滑らかに動いていたし、遊園地のコーヒーカップみたいに機械で移動しているのだろうか。

あと馬も大変驚いた。

最初もしかして本物?!と思ってしまった。それくらいリアルなサイズ感。揺れるたてがみや首の動きもそれらしい。

足が前脚と後ろ脚で揃っていたので人間だなとわかったくらい。

でも人間二人で馬とそれに乗る実盛と太郎吉を支えているのは本当にすごいな。

裏方や斬られ役の大切さを強く感じた。

また思い出したら書いていきたい。